開催にあたっては賛否両論あったらしいが、さてさて遊郭を開場させ、幕府公認にし、風紀を乱さないよう、という名目で一つの街を形成した一大行楽場であったのは事実で、今更負の遺産、やってはいけないことだったと言われても、貧しく売られて苦界を舐めた女性たちの歴史を消すことはできない。
美しい、素晴らしい、だけでない人間の欲得の果てを見るのも一つの見方ではないだろうか?
辻村寿三郎の人形を、遊郭を再現したジオラマに配置した展示は、美しいばかりでないこの世界をよく表していると思う。
いつしか固まったくるわの掟やしきたり、楼主の富、蔦屋重三郎の吉原細見の刷物、名だたる絵師の活躍の影には、最下層の遊女の悲しみもある。
それにしても、中の調度品とか、細かく作ってあって、見応えがあった。
よく作ったなあ、と思う。