金融・商事判例1745号で紹介された裁判例です(東京高裁令和8年1月15日判決)。

 

 

株主はその任期中であってもいつでも取締役を解任することができますが、正当な理由がない場合には解任された取締役は損害賠償請求することができるとされています(会社法339条)。

 

会社法
(解任)
第339条 
役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。
 前項の規定により解任された者は、その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。

 

私が相談を受けた中では、定款で取締役の任期を10年としており、辞めてもらいたいものの、まだ相当な残りの任期が残っているというようなケースがありましたが、こうしたケースでは、定款変更して任期を短縮するということを検討することになります。

 

 

こうしたやり方について、直接は会社法339条の規定に当たらない者の類推適用がされるのではないかということが議論されており、これを認めた裁判例があります。

 

 

取締役の任期を短縮する旨の定款変更の有効性と損害賠償請求費の適否 | 弁護士江木大輔のブログ

 

 

本件でも、裁判所は、定款変更により人気が短縮されて再任されなかった取締役は、解任と同視できるような場合には、正当な理由がある場合を除いて、会社に対して、会社法339条2項の類推適用により損害賠償請求することができると判示しています。

 

 

本件において、裁判所は、会社側が主張した定款変更の理由を認めず、取締役を解任させるための意図であったとして解任と同視できるとした上で、解任に正当な理由がある場合について会社において取締役としての職務の執行をゆだるね事ができないと判断することもやむを得ない、客観的、合理的事情が存する場合や、会社が取締役としての職務の遂行を期待することが客観的に難しい状況がある場合などを指すとし、本件ではそのような事情は認められないとし、取締役からの損害の賠償を認容しています(残任期間の役員報酬と支給済みの退職慰労金の差額の合計を損害として認定)。