証券口座乗っ取り、実行役に有罪判決 東京地裁 - 日本経済新聞
証券口座の乗っ取り事件で、金融商品取引法違反(相場操縦)と不正アクセス禁止法違反の罪に問われた中国籍で会社経営の被告(38)の判決公判が23日、東京地裁であった。島戸純裁判長は懲役3年、執行猶予5年、罰金400万円、追徴金約7807万円(求刑懲役3年6月、罰金400万円、追徴金約7807万円)を言い渡した。
(3月24日日経新聞公開記事から一部引用)
相場操縦については金融商品取引法において禁止行為(法律上細かな類型が規定されていますが割愛します。)とされ、10年以下の懲役、1000万円以下の罰金またはこれらの併科とされていますので相当重い罪になります。
世間をあれだけ騒がせた事案であるため、執行猶予が付いたということに憤る意見もあろうかと思います。
不正アクセス禁止法違反にも問われていますが、日本の刑法では、基本的に重い方の罪を基準にして刑罰を定めますので、主に相場操縦罪が問題となった事案についての量刑を調べたところ、「兜町の風雲児」などと呼ばれ、大物仕手筋として有名であった実父と共謀の上、財産上の利益を得る目的で、①実母とも共謀の上、A社の株券について、相場操縦を行い、株価を上昇させた上、同株券の売買を行った、②同社の株券について、空売りの踏み上げ相場が形成されるので、保有継続を推奨することを内容とする風説を流布し、偽計を用いて株価を上昇させた上、同株券を売り付けた、③B社の株券について、同趣旨の風説を流布し、偽計を用いて、株価を上昇させた上、同株券を売り付けたという事案において、被告人は無罪主張しましたが、有罪とされ、求刑が懲役4年及び罰金1000万円、追徴75億7490万1500円に対し、懲役2年6月執行猶予4年間、罰金1000万円、追徴26億5864万4900円としたものがありました(東京地裁平成30年 3月22日判決)。
この事案もかなりの金額であり相場に影響を与え、被告人の行為により被害を受けた投資家もいたものと思われますが、例えば詐欺罪でこれだけの被害が出ていたとすればほぼ実刑は確実でしょうが、犯罪の位置づけとしては直接の被害者の財産的被害を保護法益とする犯罪ではないことが求刑の内容と判決において執行猶予がつけられる一つのポイントとなったものといえるでしょうか。