動物病院の火災で愛犬死ぬ 解決金100万円で和解成立 東京地裁 | 毎日新聞
動物病院で起きた火災で入院中の愛犬が死んだとして、飼い主の男性が病院側に300万円の損害賠償を求めた訴訟は17日、東京地裁(森健二裁判長)で和解が成立した。飼い主側によると、一般的に動物が死んだ場合の賠償金は20万~30万円程度だが、今回は動物病院側が解決金100万円を支払う比較的高額な内容となった。
(3月18日毎日新聞公開記事から一部引用)
法律上、ペットは動産と同じ扱いとされ、あくまでも飼い主の所有権の対象ということとなっていますが、単なる「物」と同じということができないことは社会通念上も明らかで、この点はある程度は考慮されるものとはいえると思います。
考慮のされ方として、「物」を壊したという場合、時価により賠償がされれば別途慰謝料は発生しないとされることが多いのですが、ペットの場合には飼い主の精神的なダメージも踏まえて別途慰謝料が算定されることがあり、時価賠償とは別に慰謝料が認められること自体が考慮されているということがいえます。
もっとも、その金額はもともと我が国での慰謝料の金額が低いことも相まって、なかなか一般に納得できるようなレベルの金額ではないと言えます。
【関連裁判例】
(1)千葉地裁兵伊勢17年2月28日判決
債務不履行によって、動産が毀損等した場合において、当該動産に係る財産的損害が填補されるとしても、これによって特段の精神的苦痛を被ったと認められるときは、財産的損害の賠償のほかに、精神的苦痛を慰謝するための慰謝料を請求することができると解するのが相当である。
本件では、ブリーディングに用いていた犬であり、飼い犬と同様ということはできないものの、証拠によれば、原告としては、努力して入手したり、愛情を持って育てたりしたことから、それぞれに愛着を持っていた本件犬を失ったものである上、死亡時に直ちに報告を受けられず、骨壺も一部について受け取ることができていないなどの事実が認められ、これらは上記特段の事情に当たるというべきである。
そして、その慰謝料額は、上記認定の諸事情を考慮すると、合計70万円が相当である。
(2)大阪地裁平成18年3月22日判決
控訴人は、パピヨンらをセラピー犬として飼っていたところ、本件事故によるパピヨンらの死傷により、精神的なショックを受け、病院への通院日数が増えたことが認められるところ、パピヨンらの死傷により控訴人が受けた精神的な苦痛に対する慰謝料としては10万円を認めるのが相当である。
(3)名古屋高裁平成20年9月30日判決
近時、犬などの愛玩動物は、飼い主との間の交流を通じて、家族の一員であるかのように、飼い主にとってかけがえのない存在になっていることが少なくないし、このような事態は、広く世上に知られているところでもある(公知の事実)。そして、そのような動物が不法行為により重い傷害を負ったことにより、死亡した場合に近い精神的苦痛を飼い主が受けたときには、飼い主のかかる精神的苦痛は、主観的な感情にとどまらず、社会通念上、合理的な一般人の被る精神的な損害であるということができ、また、このような場合には、財産的損害の賠償によっては慰謝されることのできない精神的苦痛があるものと見るべきであるから、財産的損害に対する損害賠償のほかに、慰謝料を請求することができるとするのが相当である。
これを本件についてみるに、前示のとおり、子供のいない被控訴人らは、○○を我が子のように思って愛情を注いで飼育していたものであり、○○は、飼い主である被控訴人らとの交流を通じて、家族の一員であるかのように、被控訴人らにとってかけがえのない存在になっていたものと認められる。ところが、○○は、本件事故により後肢麻痺を負い、自力で排尿、排便ができず、日常的かつ頻繁に飼い主による圧迫排尿などの手当てを要する状態に陥ったほか、膀胱炎や褥創などの症状も生じているというのである(被控訴人ら各本人)。このようなFの負傷の内容、程度、被控訴人らの介護の内容、程度等からすれば、被控訴人らは、Fが死亡した場合に近い精神的苦痛を受けているものといえるから、上記2の損害とは別に、慰謝料を請求することができるというべきである。
そして、慰謝料の金額については、○○の負傷の内容、程度、被控訴人らの介護の内容、程度等その他本件に現れた一切の事情を総合すると、被控訴人らそれぞれにつき、20万円ずつとするのが相当である。