トラブル相手に警察官が個人情報を提供「違法だ」 母子が一部勝訴 [東京都] [外国人]:朝日新聞
男性から「民事裁判を起こしたいので女性らの氏名や連絡先を教えてほしい」と言われ、女性の氏名や住所、電話番号を伝えた。男性はその後、女性の名前などをネットに投稿した。
(10月16日朝日新聞デジタル公開記事から一部引用)
偶発的に見ず知らずの相手とトラブルとなり、110番をして警察官に臨場してもらったという場合に、トラブルとなった相手方の間氏名などについて事情聴取した警察しか知らず、後になってこれを教えてほしいといっても「個人情報なので教えられない。」として断られるということが多いです。
暴行などの被害を受けて被害届を出した場合にも同様で、後で弁護人から示談の申し出の連絡があるのを待つしかないという対応を余儀なくされることもあります。
今回、警察側は「民事裁判で解決を図ることには一定の合理性があり、女性の連絡先の提供は許容される」と主張していたとのことで(記事引用)、第一審判決ではこれが容れられたようですが、感覚的にはこのような理由であっても任意に教えてくれるようなことは少ない気がします。
記事を読む限り、今回控訴審で逆の判断となったのは、男性が、原告である外国人女性に対して差別的な暴言を繰り返していたことを、警察官は知っており、個人情報を提供すれば誹謗(ひぼう)中傷の危険性があると容易に認識できたという事情が取り上げられているようですので、裁判所としては、トラブル相手の氏名等を伝えること自体を一般的に否定したという訳ではないようです。
ただ、本件のように、伝えられた情報をSNSでさらすというような人間がいるわけで、そうすると、真に示談交渉や裁判のために相手の氏名等を知りたいと思って開示を求めたとしても、警察がその情報を伝えることには益々消極的な態度をとるような気がしますが、それはそれで被害回復を図りたいと考えている側にとっては大変な事であるということが言えます。