マンション建設中止の仮処分申し立て 東京・府中で「日照権侵害」 [東京都]:朝日新聞

 

 

東京都府中市で建設中の10階建てマンションをめぐり、日照権や環境権を侵害されるとして、近隣住民ら11人が19日、工事の中止を開発会社と建築業者に求める仮処分を東京地裁立川支部に申し立てた。

(8月19日朝日新聞デジタル公開記事から一部引用)

 

 

日照被害は、加害者と被害者の利益を考量して被害者の被害状況が 社会生活上一般に受忍すべき限度を超えた場合に違法となるものと考えられています(受忍限度論 通説・判例)。

そして、その判断に当たっては、①被害の程度②地域性③加害回避可能性④被害回避可能性⑤被害建物の配置・構造⑥加害建物の用途⑦被害建物の用途⑧先住関係⑨加害建物の公的規制違反の有無⑩交渉過程等が一般にあげられるものとされ、その中で最も重要な要素は①被害の程度と②地域性とされています(以上「民事保全の実務第4版」353頁ないし354頁 東地方裁判所民事第9部保全係 江原健志・品川英基編著)。

 

 

被害の程度に関しては、一般的に参考とされるのが冬至日の午前8時から午後4時までの時間帯の日照の程度とされます。

 

 

地域性に関しては、第一種住居地域、商業地域といった地域指定により日影規制と呼ばれる規制がされていることがあり、日影規制では、日影時間を当該建物の敷地の平均地盤からの高さが1.5m(1階の窓中央を想定)、4m(2階の窓中央を想定)、6.5m(3階の窓中央を想定)といった基準が定められ、いずれかの水平面で測定することとされています(この水平面のことを測定面と呼ぶ。測定面高さが高いということは、計画建築物の高さを低く見なすことになり、それに伴い計画建築物の影も短くなり、日影が影響を及ぼす範囲も小さくなるため、測定面高さが高いほど日影規制は緩やかになるという関係にある)。

 

 

本件においても前記の裁判所の基準に従い各基準にについて具体的な事情が主張立証され判断が進めれるということになります。