2015年に長野県佐久市で中学3年の和田樹生さん(当時15)がはねられ死亡した事故で、道路交通法違反(ひき逃げ)の罪に問われた男性被告に対し、最高裁第2小法廷(岡村和美裁判長)は7日、無罪とした二審・東京高裁判決を破棄し、逆転有罪を言い渡した。懲役6月の実刑とした一審・長野地裁判決が確定する。
(2月7日日経新聞から一部引用)
無罪とした控訴審判決を破棄し、救護義務違反の成立を認めて有罪とした第一審判決を指示したということになります。
救護までの間に飲酒運転の発覚を免れるための行動をとった場合と救護義務違反の成否 | 弁護士江木大輔のブログ
本件で、被告人は、飲酒運転の発覚を恐れて、ブレスケアを購入するために本件コンビニに赴いていたのですが、この点の評価につき、控訴審判決は、道義的には非難されるべきものであるとしても、救護義務を履行する意思とは両立するものであって背反するものではなく、上記発覚回避行動に出たからといって救護義務を履行する意思が否定されるものではないから、被告人が同意思を失ったとは認められないなどと指摘していました。
これに対して、今回の最高裁判決はつぎのとおり説示しています。
「被告人は、被害者に重篤な傷害を負わせた可能性の高い交通事故を起こし、自車を停止させて被害者を捜したものの発見できなかったのであるから、引き続き被害者の発見、救護に向けた措置を講ずる必要があったといえるのに、これと無関係な買物のためにコンビニエンスストアに赴いており、事故及び現場の状況等に応じ、負傷者の救護等のため必要な措置を臨機に講じなかったものといえ、その時点で道路交通法72条1項前段の義務に違反したと認められる。」
