示談での「口外禁止条項」とは? 中居正広さんのトラブルで注目:朝日新聞

 

元タレントの中居正広さんと女性との間でトラブルが起き、週刊文春などがフジテレビの幹部社員が関与していたと報じた問題。中居さんは示談の成立によって「守秘義務がある」として、トラブルの詳しい内容の説明をしないまま、引退の表明に至りました。示談の際に守秘義務を課す「口外禁止条項」を設けていたとみられます。どんなものなのでしょうか。

(1月27日朝日新聞デジタルから一部引用)

 

口外禁止条項自体は、裁判外で示談する際であれ、裁判所の調停や訴訟で和解する場合であれ、よく付けられるものです。

 

 

性的なトラブルなど極めてセンシティブの事案である場合のほか、消費者事件や労働事件などで事業側、会社側がそうした和解をしたことが他の消費者や労働者に漏れて紛争が拡大したりどのような基準で和解したかを知られてしまうことを恐れてこうした条項を和解の条件にしてくることもあります。

後者の場合には、いわゆる「口封じ」的な意味合いが強くなるため、いかがなものかということが問題となったケースというのもあります。消費者被害対策や労働弁護団関係の事件である場合には、そうした団体に対する報告については口外禁止の対象外とするように求められるということもあります。

 

 

口外禁止条項を付した労働審判が相当性に欠けるとされた事例 | 弁護士江木大輔のブログ

 

 

 

本件では、報道されている限りは両当事者にとって事案の内容などが知れることはおよそ望まないというのが一般的ではある為め、口外禁止条項自体を規定しておくことは当然のことであると言えば当然のことです。

 

 

実際に口外禁止条項によってどこまで口外禁止が守られるのかということについては、多くの場合には当事者としては解決した以上はもはやその事案について語らない、語りたくもないということが普通であるので、口外されることもないと言えます。

口外禁止を担保するため違約金条項などをのペナルティを定めておくこともありますが、実際にどのような経緯で口外されたかを立証することはよほど明白な証拠でもない限りは難しいため実際にペナルティが威力を発揮するかということについてはなかなか難しいところはありますが、だからと言って守秘義務を負っている当事者としては後難を恐れてわざわざ口外するということも普通はないとはいえます。

 

 

それにもかかわらずこうした騒ぎになっていることつにいて、「こんなことなら守秘義務など定めても何の意味もない」ということも言われていますが、守秘義務を負う当事者である被害者とされる女性自身が具体的内容を話しているということまではいえないようであり、また、口外禁止条項自体の有用性について一般的に疑義を呈するにはあまりにも特殊な案件であるということができます。