家庭の法と裁判53号で紹介された裁判例です(東京高裁令和4年12月15日決定)。

 

 

本件は、離婚判決により母親を親権者として定められ、その際養育費についても判決で定められたが、その後、母親が不適切な養育を行ったことから未成年者(小学生、中学生)が一時保護されたという事案において、父親が、離婚判決で定められた養育費の支払いの取消しを求めたという事案です。なお、父親による親権者変更の申立てもなされ、この点について認容され、本決定当時においてはいまだ係争中であったとのことです。

 

 

母親は一時保護されているだけなのでいずれ未成年者も戻ってくるなどとして争いましたが、裁判所は、保護されて以降1年以上に渡って母親は養育監護していないことや、親権者が父親に変更されたこと等の事情を指摘し、現時点で未成年者らが母親のもとに戻る見通しは立っていいなことなどから、養育費の支払いを命じた判決については実情に適していないとしてこの部分を取り消しています。

 

 

なお、取消しの始期については、原審(家裁)が一時保護開始の翌日からとしたのに対し、高裁は養育費減額(取消)の信販が申し立てられた時からとしています。

 

 

 

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