東京商工リサーチ(TSR)は13日、船井電機(大阪府大東市)の破産手続き開始を認めた東京地裁の決定に、同社の代表取締役会長に就任した原田義昭・元環境相らが東京高裁に即時抗告を申し立てたことについて、破産が取り消される可能性は「天文学的に低い成功率」とする統計上の分析を発表した。

(11月13日日経新聞から一部引用)

 

本件のように、すべての取締役が同意せず、一部の取締役が会社の破産を申し立てる準自己破産と呼ばれる申立て手続きにおいては、破産手続きの原因となる事実を疎明しなければならないということになっています(破産法19条3項)。

 

 

破産法
(法人の破産手続開始の申立て)
第19条1項
 次の各号に掲げる法人については、それぞれ当該各号に定める者は、破産手続開始の申立てをすることができる。
 株式会社又は相互会社(保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第五項に規定する相互会社をいう。第百五十条第六項第三号において同じ。)取締役
3項 前二項の規定により第一項各号に掲げる法人について破産手続開始の申立てをする場合には、理事、取締役、業務を執行する社員又は清算人の全員が破産手続開始の申立てをするときを除き、破産手続開始の原因となる事実を疎明しなければならない。

 

これだけの大きな会社について一部の取締役が秘密裏に破産の申し立てをしているわけですから、様々な裏事情があり、後で破産手続き開始を巡って争われるということは容易に想像がつきますので、裁判所は後から手続がぐらつくのを嫌がることからも、裁判所としても慎重に審理したものと思われます。

 

 

また、通常、破産の申し立てにあたっては事前に裁判所に相談するようなことはありませんが(具体的に相談しようとしても、一般論しか言えないからとりあえず申し立ててくれと言われて門前払いされることが多い)、ここまでの大規模な破産事件となると、事前に具体的に相談していたということも推測されるところです。