防衛省は20日、同日に中国海軍の空母「遼寧」から艦載機の発着艦を確認したと発表した。遼寧を含む艦艇計6隻は18日に日本領海に隣接する沖縄県沖の接続水域に一時入っていた。東シナ海から太平洋に抜けた後、発着艦した。

 

中国軍の空母による日本の接続水域の航行を確認したのは18日が初めてだった。

(9月20日日経新聞から一部引用)

 

よく耳にする接続水域という言葉ですが、我が国が接続水域を設定したのは1996年に制定された領海及び接続水域に関する法律に基づいて24海里の接続水域を設定したもので、それほど古くからあるものではなく、むしろ比較的最近設定されたものになります。

 

領海及び接続水域に関する法律

(接続水域)
第4条1項
 我が国が国連海洋法条約第三十三条1に定めるところにより我が国の領域における通関、財政、出入国管理及び衛生に関する法令に違反する行為の防止及び処罰のために必要な措置を執る水域として、接続水域を設ける。

 

接続水域は領海ではないので当該水域に対して主権を持つわけではないですが、密輸などの犯罪行為の取り締まりについて領海に入ってからでないと摘発できないとすると取り締まりの実効性を欠くことから、通関上、財政上、出入国管理上又は衛生上の法令違反の防止と摘発に限って執行権限を有することができるという、やや分かりにくい概念です。

主権が及ぶ領海でもないのにこのようなことが認められるのかについては、接続水域の制度自体は国際慣習法として確立されたものとされています。

 

 

上記のように接続水域は主権が及ぶ領海ではなく、他国船が航行すること自体を取り締まることができるわけではないため、接続水域を中国空母が航行すること自体が妨げられるわけではないとしても(そもそも領海であっても他国の軍艦は無害である以上航行ができるとされている)、これまで航行していなかった水域に初めて航行を行ったということはそれだけ領海に近づいてきたということが言えるわけす。

 

 

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