規制の拡大により、都外ナンバーも含めた都内を走行するすべての広告宣伝車を対象に、LEDで映像を流すなどしてほかの運転手の注意力を著しく低下させるおそれのある広告は禁止されるほか、区市町村に、走行ルートを示して許可を受けることや、業界団体によるデザイン審査などが求められます。

(6月30日NHKニュースウェブから一部引用)

 

 

繁華街を歩いていると、派手な広告を車体に描いた大型トラックが大音量で音楽をかけながら走行しており、目のやり場に困ったりするということがよくあります。

 

 

自動車で走行しながらの公告という点で固定された屋外広告物とは異なる側面もありますが、従来、固定された屋外広告物の規制と憲法の表現の自由との関係について、判例は、「都市の美観風致を維持することは、公共の福祉を保持する所以であるから、この程度の規制は、公共の福祉のため、表現の自由に対し許された必要且つ合理的な制限と解することができる。」(大阪市屋外広告物条例事件・昭和43年12月18日判決 大分県屋外広告物条例事件・最高裁昭和62年3月3日判決)などとして簡単な説示で合憲性を肯定しています。

両事件とも政治的な主張や呼びかけを内容とする広告が問題とされたものでしたが、本件では一般にそうした内容の表現よりも相対的に保護の程度が低いと考えられている営利的な表現と呼ばれるものですし、自動車を走行させての広告ということで、より一層規制をかけられる余地は大きくなりそうです。

 

 

ただ、公権力が表現の内容に踏み込んで審査するということになる為、恣意的な規制がなされないよう、業界によるデザイン審査や運転手の注意力を著しく低下させるおそれのある広告のみを規制するなど一定の配慮をしているということになります。

 

 

場違いな文教地区やオフィス街を走っているのであればともかく、それなりの繁華街であれば、他にもよほどな広告も立ち並んでいたりしますし、私などはそこまで目くじら立てなくてもと思ってしまいますが。