令和4年5月18日に訴訟のIT化などを主とする民事訴訟法が改正されましたが、システムの構築などが必要な改正事項もある為、実施時期は、改正事項ごとに順次施行されることとなっています。

 

 

弁護士にとって最も大きな影響があるのが、訴状等のオンラインによる提出です。

 

 

現在でも最高裁が定める裁判によ隊する申立てについてはインターネットでの申立ても可能とはされていますが、当該最高裁規則は定められることなく、まったく活用されていないという状況にあります。

 

 

今回の改正で、民事訴訟に関する手続きの申立て等について、裁判所に対してするものは幅広くオンラインによる申立てを「行うことができる」とされました(改正法132条の10第1項)。

 

 

改正民事訴訟法

(電子情報処理組織による申立て等)
第132条の10第1項
 民事訴訟に関する手続における申立てその他の申述(以下「申立て等」という。)のうち、当該申立て等に関するこの法律その他の法令の規定により書面等(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下この章において同じ。)をもってするものとされているものであって、裁判所に対してするもの(当該裁判所の裁判長、受命裁判官、受託裁判官又は裁判所書記官に対してするものを含む。)については、当該法令の規定にかかわらず、最高裁判所規則で定めるところにより、最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用して当該書面等に記載すべき事項をファイルに記録する方法により行うことができる。

 

あくまでも「行うことができる」なので義務ではなく、書面によって申し立てることも可能です。

・・・しかし、今回の改正がメガトン級であるのは、訴訟委任を受けた代理人についてはオンライン提出が義務化されたことです(改正法132条の11第1項)。

つまり、弁護士が委任を受けて行に訴訟提起はすべてオンラインによって申し立てなければならず、「よく分からないから書面で出そ」ということで今まで通り訴状を裁判所に送り付けても、不適法として受理してもらえず却下されてしまうということになります。

 

(電子情報処理組織による申立て等の特例)
第132条の11第1項 
次の各号に掲げる者は、それぞれ当該各号に定める事件の申立て等をするときは、前条第一項の方法により、これを行わなければならない。ただし、口頭ですることができる申立て等について、口頭でするときは、この限りでない。
一 訴訟代理人のうち委任を受けたもの(第五十四条第一項ただし書の許可を得て訴訟代理人となったものを除く。) 当該委任を受けた事件

 

なお、裁判所の使用に係る電子計算機の故障その他その責めに帰することができない事由によってオンライン申立てができないときは例外的に書面によって手続することが認められていますが(改正法132条の11第3項)、そうそう起こることではないでしょう。

 

 

具体的にどうするのかにという点についてまだ詳細が決まっているということではないようですが、制度開始前には弁護士がそれぞれアカウントを作って裁判所に登録するということになるのでしょう。

今でもteamsやmintsといった裁判所でのオンライン手続きはメジャーになっており、その際にもスマホでの本人確認の認証をして登録、ログインしていますが、そんな感じのものになるのでしょう。

teamsやmintsも始まった当初は「とても無理」という感じて腰が引けていましたが、今では難なく使いこなしてはいますので、慣れればきっと大丈夫でしょう。きっと。。

 

 

裁判所のシステム構築などのための期間を必要とすることから、本改正事項の施行は2026年(令和8年)5月24日までに施行されることとされ、現在関係各所において準備が進められているところです。