家庭の法と裁判49号で紹介された裁判例です(東京地裁令和4年7月7日判決)。

 

 

離婚とともに請求される離婚慰謝料は、相手方配偶者の原因によって離婚となった点につき発生する慰謝料です。

 

 

本件は、夫に対する離婚や親権者指定とともに、別居後の夫の行動(妻が子を虐待していると吹聴した、家裁での調停の際にカメラクルーを連れてきて撮影しようとしたりした、パネルディスカッションで実名で参加し原告が子を拉致したなどとして述べたりしたことなど)も離婚に至った原因の事情であると主張して、離婚慰謝料を請求したという事案です。

 

 

判決は、別居時点で夫婦の婚姻生活は破綻しており、その原因が夫にのみあったとはいえないとしたうえで、妻が主張する別居後の夫の行動については離婚慰謝料の発生事由とはならないとして、妻の離婚請求を棄却しています。

 

 

なお、あくまでも離婚慰謝料としての請求は認められないということなので、離婚とは関係なく、別居後の個々の行為につき不法行為として慰謝料を請求することは可能です。

 

 

 

離婚に伴う慰謝料として夫婦の一方が負担すべき損害賠償債務が履行遅滞となる時期 | 弁護士江木大輔のブログ (ameblo.jp)