最高裁平成27年11月19日判決(判例タイムズ1421号など)

 

 

【本件の概要】

 (1) 被上告人は,Aから委託を受け,平成元年4月10日,株式会社B銀行との間で,AがB銀行に対して負担する一切の債務を連帯保証する旨の契約をした。
 (2)ア Aは,平成2年8月14日,B銀行から,いずれも弁済期を平成3年7月31日,利息を年7.7%,遅延損害金を年14%とする旨の約定で2口合計8490万円を借り入れた。
  イ 上告人は,Aから信用保証の委託を受け,平成2年8月13日,B銀行との間で,Aの上記アの各債務を連帯保証する旨の契約をした。
 (3) 上告人は,平成6年2月23日,B銀行に対し,上記(2)アの残債務全額を代位弁済した。
 (4)ア Aは,平成6年12月30日から平成13年5月16日までの間,上告人に対し,上記(3)の代位弁済により発生した求償金債務を一部弁済した。
   イ 上告人は,平成14年5月20日,Aに対し,上記アの求償金の支払を求める訴訟を提起し,同年9月13日,上告人の請求を認容する判決が言い渡され,その後同判決は確定した。
 (5) 上告人は,平成24年7月25日,本件訴訟を提起した。

 

 

【争点】

上告人は、主債務者Aに対しては求償権に基づき請求し判決を取得しているが(時効の中断)、上告人が代位弁済した平成6年2月23日以降、共同保証人である被上告人に対しては請求していないので、主債務者に時効中断事由がある場合、共同保証人である被上告人に対する求償権についても時効が中断したといえるか。

 

 

【判決】

 民法465条に規定する共同保証人間の求償権は,主たる債務者の資力が不十分な場合に,弁済をした保証人のみが損失を負担しなければならないとすると共同保証人間の公平に反することから,共同保証人間の負担を最終的に調整するためのものであり,保証人が主たる債務者に対して取得した求償権を担保するためのものではないと解される。
 したがって,保証人が主たる債務者に対して取得した求償権の消滅時効の中断事由がある場合であっても,共同保証人間の求償権について消滅時効の中断の効力は生じないものと解するのが相当である。