当初、男に謝罪文を書いてもらったところ、「心を踏みにじってしまい申し訳ありません」という趣旨の一文しかなかった。「反省の気持ちはあると感じたが、(男は)文章を書くのが苦手で、とても被害者側に渡せる内容ではなかった」と語る。弁護士自身が文案を作成するしかないと考え、以前から活用を模索していたチャットGPTに「性犯罪者が提出すべき謝罪文を書いて」と指示してみた。すぐに文案が示され、男が書いた謝罪文より「充実した内容」だったという。

(4月5日読売新聞オンラインから一部引用)

 

正直なところ、謝罪文を弁護士側が起案したものを被告人(被疑者)に手書きしてもらうということはそれなりに行われているのではないかと思います。

弁護士としては、「自分で書かないのであれば知らん。」ということでそのまま何もしないというのでは、謝罪文の一つも書かない(書かせない)とはひどいということになって、揉めることになる可能性もあるため(「揉める」という表現はあまり適切ではないかもしれませんが、謝罪文の一つも書いていないとはどういうことだと公判廷で裁判官や検察官から突っ込まれる、被害者側からも怒られる、「なんできちんと対応してくれないのだ」と被告人から弁護士に対してもクレームがつくということで揉める範囲と局面は多岐にわたってきます)、誰もが不愉快な思いをするのであれば、それならば弁護士側で用意しましょうかということにもなります。

別に隠す必要もなく、弁護士が用意はしたが参考程度という位置づけでよいのではないかと思います。

 

 

このこと自体も「いかがなものか」という反応もあるかとは思いますし、記事となっているAIが文案を作成して被告人(被疑者)に書いてもらうのと大差ないものともいえます。もっとも、AIに作成させるというのは、個別の事情などは関係なく、一般的な内容で表面だけは出来栄えがよいものとなるのではないかと思われ、私自身は、被告人(被疑者)のために謝罪文を用意してあげるとしても、AIに頼むことはないと思います。

同じようなことをしてているとしても、このあたりの感覚の機微というものを意識しておく必要がありそうです。

 

 

記事ではそのあたりのことは触れていないのでのず、何故、今回、こうしたことが発覚したのかというのは興味あるところですが、弁護人が「AIで作成した」ということを被告人(被疑者)に伝えていて、そのことがさらに伝わったということなのでしょうか。