法定相続人が不動産を相続して10年以上たった後、他にも相続人がいるとする遺言が見つかった場合、誰が不動産を所有できるのか――。こうした点が争われた訴訟の上告審判決が19日、最高裁第3小法廷(渡辺恵理子裁判長)であった。同小法廷は法定相続人による相続財産の取得は遺言によって妨げられないとする初判断を示した。

(3月19日日経新聞から一部引用)

 

下記で紹介した高裁判決についての最高裁の判断ということになります(高裁の判断を是認)。

 

 

相続回復請求権の行使可能期間中の取得時効の可否 | 弁護士江木大輔のブログ (ameblo.jp)

 

 

大審院時代の判例との関係について、最高裁は、戦前の民法における家督相続制度を前提とする相続回復請求権に関するものであって、これらの大審院判例に抵触するものではないと指摘し、その他の高裁の判旨をすべて是認しています。

 

 

実際に本件のようなことが問題となるのは、相続が発生し処理も終わってからずいぶん期間が経過した後に遺言が発見されるようなケースに限られるので、実務上頻発していた問題というわけではありませんが、そうしたこともないわけではなく、実際に紛争となった場合にはそれまでの期間に構築された法律関係を覆すことにもなる深刻な争いとなるので、今回の判決により決着がつけられたことはよかったものと思います。

 

 

自筆証書遺言が遺言者の自筆によると認めるに足りないとされた事例 | 弁護士江木大輔のブログ (ameblo.jp)