訴えについて共産党は「まったく不当なものだ。除名処分は規約に基づいて厳正かつ適正に行われた。そもそも、政党は自律的な運営を行うので裁判所の審判権が及ばない」とコメントしています。

(3月7日NHKニュースウェブから一部引用)

 

政党による処分が司法審査の対象となるかどうかについては、本件と同じく共産党による除名処分の有効性が問題となった事案(除名処分を前提として除名された幹部に対して家屋の明け渡しを求めた訴訟)において、「政党が党員に対してした処分が一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判権は及ばないというべきであり、他方、右処分が一般市民としての権利利益を侵害する場合であっても、右処分の当否は、当該政党の自律的に定めた規範が公序良俗に反するなどの特段の事情のない限り右規範に照らし、右規範を有しないときは条理に基づき、適正な手続に則ってされたか否かによって決すべきであり、その審理も右の点に限られるものといわなければならない。」と判示した判例があります(最高裁昭和63年12月20日判決)。

 

 

この判決を前提とする限り、手続がきちんと踏まれたかということを超えて、処分の実質的な理由にまで踏み込んで司法審査を求めることは厳しいところがありますが、近時、同様に司法審査が及ばないとされていた地方議会の懲戒処分について司法審査の余地を認めた判例が出されたこともあり、原告側としてはこうした判例も踏まえたうえで主張を展開していくことになるものと思われます。

 

 

地方議会の出席停止の懲罰と司法審査 | 弁護士江木大輔のブログ (ameblo.jp)