去年9月、長野県内で貸し出された高級外車のレンタカーが直線距離でおよそ700キロ離れた大分県で事故を起こして大破し、警察はこのレンタカーを借りた20歳の容疑者を期限を過ぎても返却しなかったとして逮捕しました。調べに対し容疑を一部否認しているということです。

去年9月、長野県諏訪市のレンタカー店で貸し出されたスポーツタイプの高級外車のレンタカーが期限が過ぎても返却されず、期限の3日後に直線距離で700キロほど離れた大分県内で事故を起こして大破しました。

(2月7日NHKニュースウェブから一部引用)

 

最初から返す気がなかったのに騙して借りたのであれば詐欺罪ということになりますが、レンタカーを借りる際には免許証を提示し、また、支払い方法もクレジットカードを使うなどもしますので、最初から騙す気があったとまではなかなかいえないことが多そうです。

 

 

そのため、適法にレンタカー(他人の物)の占有を得たが、その後、レンタカーを「横領した」として横領罪に問われたということになります。

 

 

刑法

(横領)
第252条1項 自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の懲役に処する。

 

「横領した」というのは、他人の物の占有者が委託の趣旨に背いてその物につき権限がないのに所有者でなければできない処分をする意思が客観化した行為を言うとされます。

 

 

レンタカー会社がレンタカーの使用を利用者に委託した趣旨は、約束した一定期間レンタカーを使用させること、返却期限が来れば返してもらうことですが、返却期限が過ぎても返されなかった場合がすべて「横領した」といえるものとは言い切れず、所有者でなければできない処分をする意思が客観化した行為であるといえるかがポイントになります。

 

 

レンタカーを借りてどこに行こうと自由ですが、期限の3日後に、(おそらく返却場所である)諏訪市から遠く離れた大分市で利用していたことや(おそらく)レンタカー会社に返却が遅れる旨の連絡がされていなかったなどの事情から、返却期限を過ぎても返す気がない、すなわち所有者でなければできない処分をする意思が客観化したものであると評価されたものと考えられます。