同性パートナーを殺害された男性が、愛知県公安委員会が同性であることを理由に「犯罪被害給付金」を不支給としたのは違法として、処分の取り消しを求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(林道晴裁判長)は17日、双方の意見を聞く上告審弁論を3月5日に開くと決めた。

(1月17日日経新聞から一部引用)

 

この事案については第一審,控訴審ともに判決後に取り上げたことがあります。

 

 

同性パートナーに対して遺族給付金の支給を認めないとした処分が憲法14条1項に反するか | 弁護士江木大輔のブログ (ameblo.jp)

 

同性の犯罪被害者と共同生活を営んでいた者が犯給法に基づく給付金の請求をすることができるか | 弁護士江木大輔のブログ (ameblo.jp)

 

 

第一審判決については当時次のとおり考えていましたが,「事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者」という要件については肯定した上で,支給除外事由を定めた法6条3号についての検討をさせるために差し戻すということも考えられるかなと思いました。

 

本件では,パートナーを殺害した犯人は原告とも関係があり,「原告を独り占めしたい」という動機で殺害行為に及んだとの事情のようで,通り魔のような事案とは異なり,原告自身にも責められるべき事情の一端があるようなので,給付金の請求を認めることには一抹の座りの悪さもあるところですが,これは,「事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者」かどうかという問題ではなく,給付金を支給しないことができる事情(法6条3号)において考慮すべき事情であるようにも思われます。