判例タイムズ1514号で紹介された審判例です(那覇家裁令和5年2月28日審判)。

 

 

相続人である子が嫡出子であるかそうでないかによって相続分に差異を設けていた民法の規定が憲法に反するかどうかについて,最高裁において,違憲であると判断されています(最高裁平成25年9月4日決定)。

 

 

民法900条4号ただし書前段の規定と憲法14条1項 | 弁護士江木大輔のブログ (ameblo.jp)

 

 

最高裁決定は,嫡出子かそうでないかによって相続分を分けていた当時の民法の規定が遅くとも平成13年7月当時において憲法14条1項に違反していたと判断しましたが,本件の相続は平成13年2月であり,最高裁判例が判断していない時期に該当するため、どのように考えるか問題となりましたが,本件では、次のとおり説示して,法定相続分は等しい割合とすべきであるものと判断しています。


 

「我が国の婚姻や家族の実態、諸外国の立法傾向や条約の存在に係る状況及び立法動向や最高裁判所判例に関する評価を踏まえて検討するに、平成13年2月当時においても、法律婚制度の下で父母が婚姻関係になかったという、子にとっては自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由としてその子に不利益を及ぼすことは許されず、子を個人として尊重し、その権利を保障すべきであるという考えが確立されてきていたものということができ、当時の立法府の裁量を考慮しても、嫡出子と嫡出でない子の法定相続分を区別する合理的な根拠は失われていたというべきであり、本件相続開始時点においても、前記部分に係る民法の規定は、憲法14条1項に違反していたものというべきである(最高裁平成25年9月4日大法廷決定・民集67巻6号1320頁参照)。」