ICC設立条約の締約国ではないロシアが身柄引き渡しに応じる見込みはなく、プーチン氏の逮捕は困難。ただ、プーチン氏がICC加盟国に渡航すれば拘束される可能性もあり、外交上の制約となる。現職の国家元首に対するICCの逮捕状としては、2009年にスーダンのバシル大統領(当時)に出された例などがあるが、主要国の指導者では初めて。

(3月18日時事ドットコムニュースから一部引用)

 

国際法上,国家元首は,外国の刑事裁判権からは絶対的に免除されるとされています(人的免除)。

もっとも,これは在任中に限り,退任後は,元首としての公的な資格で行った行為についてのみ外国の刑事裁判権から免除されるとされています(事項的免除)。ベルギーの裁判所がコンゴの現職外務大臣に対して発した逮捕状の有効性につき,国際司法裁判所は,国際法違反に当たると判断しています。

 

 

今回,ロシアの現職の国家元首であるプーチン大統領に対して逮捕状が出されたということですが,これは,特定の外国国家が出したものではなく,国際刑事裁判所が出したものです。

このような国際法廷との関係では,国家元首といえども刑事裁判権からの免除は認められないと考えられています。

 

 

そのためプーチン大統領がICC加盟国を訪問した場合に逮捕すること自体は国際法上合法であると考えられ,実際にそのような事態となることはなかなか想定はできないものの,ロシアの外交活動に対して与える影響は一定程度はあるものと考えられます。