高速道路の自動料金収受システム(ETC)レーンで料金を支払わず不正に通過したとして、大阪府警は24日、アルバイトの容疑者(26)=同府寝屋川市春日町=を道路整備特別措置法違反などの疑いで逮捕した。「300~400回やった。料金を払うのがもったいなかった」と容疑を認めているという。
(1月25日毎日新聞から一部引用)
料金を支払わずに不正に利益を取得しているので詐欺になりそうな感じもしますが,詐欺罪はあくまでも人を騙して利益を騙し取るという罪であるため,今回のようなETCすり抜けるという手法について詐欺罪は適用されないことになります。また,人ではなく,いわば機械を騙すという形での詐欺罪といえる電子計算機使用詐欺という犯罪もありますが,虚偽の情報を与えて利益を免れたというわけでもないためこの罪についても適用にならないということになります。
利益を収奪しているので窃盗ではないかということについては,窃盗罪は物のみを対象としており,利益窃盗は不可罰とされているため,窃盗罪にもなりません。
そのため,道路整備特別措置法という聞きなれない法律に規定された定められた通行方法に違反した通行を行ったという罪での摘発となっていますが,罰金刑しか規定されていないというのは,実質は利益の窃盗であり,「300~400回やった。」という犯行態様の重さからすると,処罰の在り方としてどうなのかという議論はありそうです。
道路整備特別措置法
(料金徴収の対象等)
第24条
3 会社等又は有料道路管理者は、この法律の規定により料金を徴収することができる道路について、料金の徴収を確実に行うため、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣の認可を受けて、料金の徴収施設及びその付近における車両の一時停止その他の車両の通行方法を定めることができる。この場合において、第一項本文の規定により料金を徴収される自動車その他の車両は、当該通行方法に従つて、道路を通行しなければならない。
第59条 第二十四条第三項後段の規定に違反して道路を通行した自動車その他の車両の運転者は、三十万円以下の罰金に処する。
