判例タイムズ1500号などで紹介された裁判例です(大阪高裁令3年7月16日判決)
本件は住居侵入罪の成否が問題となったもので,本控訴審判決は,第一審判決の有罪判決を破棄し,住居侵入罪は成立しないとして無罪としました。
刑法
(住居侵入等)
第130条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
本件で被告人が立ち入ったとされるのは,住居(建物)の内部そのものではなく,その敷地でした。
建物に付属する土地で管理者が門塀等を設けることによって建物の付属地として利用することが明示されているものを「囲繞地」といい。移入地への立入りも「住居」への侵入にあたるものとされています(最高裁昭和51年3月4日判決・平成20年4月11日判決は建造物,邸宅に関するものですが,本判決において「住居」についても同様として,刑法130条にいう住居には,住居が建物である場合には,当該建物だけではなく,その囲繞地も含まれることがあるが,そのような囲繞地に当たるというには,その建物に接してその周辺に存在し,かつ,居住者が外部との境界に門塀等の囲障を設置することにより,建物の附属地として,建物利用のために供されるものであることが明示されている土地であることが必要と解されるとしています)。
囲障はそして,本判決は,囲障は必ずしも居住者によって設置されたものでなければならないとは解されないが,その囲障の存在によって,その土地を建物の利用に供し,部外者の立入りを禁止するという居住者の意思が明示されていると認められるものであることが必要であるとした上で,長方形をなす被害者方敷地の1辺の一部にしか囲障がないのであるから,これをもって被害者方敷地全体を被害者方の利用に供し,部外者の立入りを禁止するという居住者の意思が明示されているとは到底認められないとしました。