ゴルバチョフ氏は、1931年、ロシア南部で生まれ、共産党の要職を歴任したあと1985年、54歳でソビエトの最高指導者にあたる書記長に就任しました。
書記長として「ペレストロイカ」と呼ばれた政治改革や、情報公開を意味する「グラスノスチ」など、閉鎖的な社会を民主化する政策を進めました。(8月31日NHKニュースウェブから一部引用)
既に「歴史」の領域になりつつありますが、ゴルバチョフ書記長が就任する前のソ連といえば日本にとつては薄気味の悪い全体主義国家であり、子供心にも「怖い」「恐ろしい」と感じていたことを覚えています。ドラマや映画に出てくるソ連人というのは感情のない冷酷な人間というステレオタイプで描かれていました。
それがゴルバチョフ書記長の就任後は徐々にそういう恐怖心も少なくなり、親しみの気持ちも持つようになりましたが、長らく続いた東西冷戦の終焉が見えてきて、心のどこかで「やっぱり自由主義陣営が勝ったのだ」というような気持ちがよぎったような気もします。人間、どうしても優劣をつけて物事を見てしまうところがあります。
ゴルバチョフさんはロシア国内では全く人気がないとういうのは日本人としては信じられない思いもしますが、ロシアの人々にとっては国を「負かせた」張本人という捉え方になるのでしょう。私ですら、僅かながらも「勝った」というような気持ちを抱いたのですから、対極にあるロシア人の感情としては鬱屈したものがあったとしても驚くことではないかと思います。
プーチン大統領の鬱屈した感情の延長線上に現在のウクライナ戦争があるという指摘もあり、ゴルバチョフ書記長による改革の進行中は「これで世界はもっと良くなる」という気持ちを抱いていたことは事実であり、なんとも複雑な心境になります。
