家庭の法と裁判39号で紹介された裁判例です(東京家裁令和3年1月29日審判)。

 

 

サラリーマンの場合にはあまり問題となりませんが,婚姻費用(養育費)の算定に際して,事業収入や役員報酬を得ている場合には,本当はもっと収入があるはずとか経費が水増し計上されているといったことが主張され紛糾することも少なくありません。

 

 

本件は,会社の代表取締役を務めていた夫につき,調停中に,役員報酬が減額されたことにつきそれが不当なものであるとする妻の主張がなされたというものです。

 

 

裁判所は,会社の売上高は2020年3月において約11億円であったが,2020年4月から6月までの3か月間では新型コロナウィルス感染症の影響もあって1億円程度にとどまり,2020年5月に取締役会において役員報酬の減額が決議されている経緯を認定して,本件役員報酬の減額について特に不当であるとはいえないと判断しています。

 

 

婚姻費用(養育費)の算定に際しての事業所得者の総収入認定 | 弁護士江木大輔のブログ (ameblo.jp)