東電旧経営陣4人に計13兆円余の賠償命令 判決のポイントは | NHK | 福島第一原発

 

 

福島第一原発の事故で多額の損害を被ったとして、東京電力の株主が、旧経営陣5人に対し22兆円を会社に賠償するよう求めた裁判で、東京地方裁判所は元会長ら4人に合わせて13兆3000億円余りの賠償を命じる判決を言い渡しました。
原発事故をめぐり旧経営陣の民事上の責任を認めた司法判断は初めてで、賠償額は国内の裁判では過去最高とみられます。

(7月13日NHKニュースウェブから一部引用)

 

巨額の損害賠償額であり,このまま確定したとしても現実的に役員個人が支払えるようなものではなく,責任の所在を明らかにするという点では意味があるものの,会社に与えた損害を賠償させるという趣旨を貫徹させることはできないといえます。

あまりに衝撃的な金額でもあり,経済界などからは,制度の改正を求める声が上がることも考えられます。

また,先日,福島第一原発の事故について国の責任は認めないという最高裁の判決が出されましたが,原子力という国家政策について,何かあったとしても国が後ろ盾となって進めるという安心感があるからこそ国民としても支持できるわけで,いざ事故が起きたら逃げられてしまうというのでは,どうしたものかとも思います。

 

 

ところで,とてつもない巨額の損害賠償が認められたわけですが,13兆3000億円の請求額をまともに請求金額として裁判所に納める印紙を計算すると133億円近くなってしまいますが,本件訴訟はいわゆる株主代表訴訟であり,勝訴したとしても会社が被告とされた役員から賠償を得て損害を受けた会社財産の回復を図るというもので,原告である株主にとっては自らが経済的利益を得るわけではないので,財産権上の請求ではないものとみなされます(会社法847条1項)。

 

会社法

(責任追及等の訴えに係る訴訟費用等)

第847条の4第1項 第八百四十七条第三項若しくは第五項、第八百四十七条の二第六項若しくは第八項又は前条第七項若しくは第九項の責任追及等の訴えは、訴訟の目的の価額の算定については、財産権上の請求でない請求に係る訴えとみなす。

 

この場合の訴訟物の価額は160万円とされており(民事訴訟費用法4条2項),今回の件でも原告が収めた印紙としては160万円に相当する額である1万3000円であったということになります。

 

民事訴訟費用等に関する法律

(訴訟の目的の価額等)

第4条2項 

財産権上の請求でない請求に係る訴えについては、訴訟の目的の価額は、百六十万円とみなす。財産権上の請求に係る訴えで訴訟の目的の価額を算定することが極めて困難なものについても、同様とする。

 

今回13兆3000億円を超える莫大な金額の賠償を命じられてしまった被告の元役員らが控訴する場合はどうなるのでしょうか。具体的な金額の債務を争うことになるので,控訴の場合にはその金額に応じた印紙をおさめるということにもなりそうですが(そうすると印紙だけで200億円近くにも上ってしまい現実的に控訴することは不可能です)。

しかし,訴訟自体は会社法上の株主代表訴訟であることに変わりはなく,財産権上の請求ではないとしてみなされているわけですから,控訴に当たっても,訴訟物の価額は160万円であり相応する1万9500円を納付すればよいものと考えられます。

 

 

訴額の算定 | 弁護士江木大輔のブログ (ameblo.jp)