生活保護費の基準額を引き下げた国の処分取り消しを求め、29都道府県で起こされた集団訴訟で、原告の請求を退けた金沢、京都、福岡地裁の判決文に同じ誤字があることが16日、分かった。原告側弁護団は、判決文をそのまま引き写す「コピペ」をした疑いがあると指摘している。

最高裁は判決理由の書き方に関し「一般的な取り扱いを定めたものはない」と説明し、「個別の裁判の内容は回答できず、調査は考えていない」としている。

(12月16日日経新聞から一部引用)

 

本来「NHK受信料」と書かれるべきところが、三つの地裁でそろって「受診料」と誤記されていたとのこと。

 

 

私が検索できた福岡地裁の判決文(2021年5月12日判決)をみてみると、次のように確かに誤字があります。

 

 

生活保護受給世帯のうちほとんどの世帯がテレビを所有しており,4割近い世帯がパソコンを所有し,5割近い世帯がカメラを所有していること(乙A37。なお,原告14本人)などに鑑みると,平成20年から平成22年にかけて,テレビの価格が下落し,パソコンやカメラの品質が向上したことなどにより,生活保護受給世帯が全く恩恵を受けなかったということはできないし,テレビやパソコン等は,生活扶助により購入することがあり得る品目であって,生活扶助により支出することが想定されない非生活扶助相当品目(医療費,NHK受診料等)とは明らかに性質を異にするというべきである。

 

 

別々の裁判所の3つの判決が揃ってこのような誤字をするというのはちょっと考えられず、何らかの方法で先の判決文を「拝借した」と考えるのが自然のような気がします。

 

 

他の2つの地裁の判決については、京都地裁が9月14日、金沢地裁が11月25日にそれぞれ言い渡されているので、コピペしたのであるとすれば、福岡地裁の判決文が元データであったといえそうです。

 

 

判例でも示されているような一般的な基準を記述するのであれば同じ表現になるのは当然のことと言えますが、今回の部分というのは、同じ表現になるという部分ではなさそうです。

 

 

他の判決を参考にするということはあって良いことだと思いますが、表現まで含めてまるパクリした上に誤字まで同じというのではやはり司法の沽券に関わるものと言えそうですね。