令和4年(2021年)6月に改正公益通報者保護法が成立し,同月12日に公布されました。改正法の施行は公布日から起算して2年を超えない範囲において政令で定めるものとされています。
法律上保護される通報対象事実について,現行法の定めは次のとおりです。
公益通報者保護法(現行法)
第2条3項 この法律において「通報対象事実」とは、次のいずれかの事実をいう。
一 個人の生命又は身体の保護、消費者の利益の擁護、環境の保全、公正な競争の確保その他の国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法律として別表に掲げるもの(これらの法律に基づく命令を含む。次号において同じ。)に規定する罪の犯罪行為の事実
二 別表に掲げる法律の規定に基づく処分に違反することが前号に掲げる事実となる場合における当該処分の理由とされている事実(当該処分の理由とされている事実が同表に掲げる法律の規定に基づく他の処分に違反し、又は勧告等に従わない事実である場合における当該他の処分又は勧告等の理由とされている事実を含む。)
改正法では,改正法別表に掲げる対象法律に規定された犯罪行為のほか,対象法律において行政罰としての過料が規定されている場合にこれに該当する行為も通報対象事実とされることとなりました。
今回,公益通報者保護法自体にも罰則として従事者守秘義務違反,過料対象行為として報告徴収違反が設けられたことから,改正法に規定するこれらの行為についても通報対象事実とされました。
3 この法律において「通報対象事実」とは、次の各号のいずれかの事実をいう。
一 この法律及び個人の生命又は身体の保護、消費者の利益の擁護、環境の保全、公正な競争の確保その他の国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法律として別表に掲げるもの(これらの法律に基づく命令を含む。以下この項において同じ。)に規定する罪の犯罪行為の事実又はこの法律及び同表に掲げる法律に規定する過料の理由とされている事実
二 別表に掲げる法律の規定に基づく処分に違反することが前号に掲げる事実となる場合における当該処分の理由とされている事実(当該処分の理由とされている事実が同表に掲げる法律の規定に基づく他の処分に違反し、又は勧告等に従わない事実である場合における当該他の処分又は勧告等の理由とされている事実を含む。)
対象法律が目的に従って個別に掲げられていることから,目的の対象外となる税法違反や公務員法違反などについては通報対象事実とはならないことについて従来から批判がありましたが,この枠組み自体は改正法によっても維持されています。