判例タイムズ1485号で紹介された事例です(東京高裁令和2年11月10日決定)。
本件も日産ゴーン事件に関する類型証拠開示請求についての判断事例ですが,検察官が取調べ請求した供述調書に添付された原資料等について弁護人が類型証拠開示請求したところ,検察官がそのうちの一部を不開示としたので,裁判所に対して裁定請求したというものです。
裁判所は,いわゆるインカメラ審理(裁判所のみが証拠の提示を受けた上で確認する手続き)を行ったうえで,不開示とされた部分につき,会社の営業秘密に関するもの,プライバシーに関するものであって,特定の検察官請求証拠の信用性を判断するために重要なものであるとは認められないとして裁定請求を棄却しています。
刑事訴訟法
第316条の15第1項 検察官は、前条第一項の規定による開示をした証拠以外の証拠であつて、次の各号に掲げる証拠の類型のいずれかに該当し、かつ、特定の検察官請求証拠の証明力を判断するために重要であると認められるものについて、被告人又は弁護人から開示の請求があつた場合において、その重要性の程度その他の被告人の防御の準備のために当該開示をすることの必要性の程度並びに当該開示によつて生じるおそれのある弊害の内容及び程度を考慮し、相当と認めるときは、速やかに、同項第一号に定める方法による開示をしなければならない。この場合において、検察官は、必要と認めるときは、開示の時期若しくは方法を指定し、又は条件を付することができる。
協議合意制度に基づく合意内容書面に関する類型証拠開示請求の可否 | 弁護士江木大輔のブログ (ameblo.jp)