民事訴訟法は、訴状に原告の氏名を記載すると規定。関係書類の送達先の届け出も必要で、弁護士が代理人となっていない場合、原告の現住所が記載されることも多い。性犯罪被害者や加害者から逃れて暮らすDV被害者が、相手に氏名や住所を知られることを恐れ、提訴をためらうケースがあると指摘されている。

(7月31日日経新聞から一部引用)

 

民事訴訟において、当事者の住所、氏名などを記載しなければならないとされています(民訴法133条2項1号)。

 

民事訴訟法

(訴え提起の方式)

第133条 訴えの提起は、訴状を裁判所に提出してしなければならない。

2 訴状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 当事者及び法定代理人

二 請求の趣旨及び原因

 

訴状の副本は裁判所を通じて、被告に対しても送達されますので、氏名や住所などのプライバシー情報を秘匿したいDV被害者や性被害を受けた人が民事訴訟を提起する場合には、心理的に大きな負荷がかかることになり、この制度が大きなネックとなるというのは理解できるところであり、憲法が保障する裁判を受ける権利を実質的に保障するためにも何らかな手当が必要とされるところです。

 

 

他方で、被告の立場とされた人からすれば、どこの誰かもわからない人から訴えられたというのでは、防御に支障をきたすという場合も考えられますし、また、訴えられた最初の段階で原告の氏名住所が秘密とされているということは不公平感をもつことも考えられ、裁判の公平性という観点も大切にしなければならないところではないかと思います。

被告とされた人からの相談を受けた場合の現場の感覚からすると、後者の不平不満というのは結構ありそうで、「制度なので仕方ないです」というしかありませんが、はじめから犯人(加害者)扱いするのかとしてかなり不満を持つ人も多そうです。

 

 

なかなか難しい問題ですが、主張されている事案の内容との関係で原告の氏名等を秘匿する必要性があるのかなどをきちんと裁判所がチェックすることが求められるものと思います。