家庭の法と裁判30号で紹介された事例です(東京家裁平成31年1月11日審判)。
本件は、妻と子どもが夫が経営する会社の名義で借りていた自宅に居住していたところ、夫が不貞行為を行った上、妻子を自宅に残して別居し、その後、代理人弁護士をつうじてじたくは会社名義で借りているものなので使用権限は無いから退去するように求め、妻子は別に賃貸物件を借りるに至ったというものです。
夫婦双方の収入をもとに算定表に基づくと月額26万円が婚姻費用となるところでしたが,そこで考慮されている住居費約2万8000円と現実に妻が負担する移転先の住居費用約10万円の差額につき,裁判所は,妻が現在の物件を借りたのは夫から自宅を出るように求められたためやむを得なかったものであり,近隣の住居を借りたのは夫婦の問題に関係のない子どもの生活環境の変化を最小にしようとするためのもので合理性があり,賃料水準などもそれまでの水準に比して不相当なものではないといったことを指摘し,差額分を夫婦それぞれの収入で按分し,夫に対して負担を命じています。
また,スイミングスクール等の習い事にかかる費用についても同様に収入比による負担を算定しています。
算定表で考慮されている標準額を超える部分につき負担が認められるか,その場合の算定方法という点で参考になる事例であると言えます。
子どもが私立学校に行っている場合の婚姻費用算定の一事例 | 弁護士江木大輔のブログ (ameblo.jp)