東京高等裁判所 平成9年7月30日決定


原審である家裁は、農業従事者である夫について、婚姻費用の分担能力がないとして婚姻費用の分担の申立てを却下しましたが、抗告を受けた高裁では、農業収入についての認定をしたうえで、婚姻費用の分担を命じました。

サラリーマンの場合には,源泉徴収票により収入の認定が容易ですが,自営業者や農業を営んでいる者,或いは,サラリーマンであっても副収入がある者などについては,基本的には確定申告書や課税証明書によって認定していくことになりますが,必ずしもそれのみで正しい収入を反映しているとはいえないので,基礎収入を認定することが難しいときがあります。


【掲載誌】  家庭裁判月報50巻1号153頁