民法では遺産分割を禁止できる場合について3つの規定を定めています。
1 相続人間の契約による場合(民法256条)
相続人間の契約により,5年を超えない期間で遺産分割しない旨の契約をすることができます(同条1項但書)。この遺産分割の禁止期間は5年を超えない期間で更新することができます(同条2項)
2 遺言による場合(民法908条)
被相続人は,遺言により,5年を超えない期間を定めて遺産分割を禁止することができます。必ず遺言の方式で定めておく必要があります。
ただ,相続人全員の合意によって分割禁止の定めについて事実上無視されてしまう恐れもありますから,実効性を確保するためには,第三者の遺言執行者を定めておく必要があると思います。
3 家庭裁判所の審判による場合(民法907条)
家庭裁判所は,特別の事由がある場合に,期間を定めて遺産の全部又は一部の分割禁止をすることができます。
それほど実例があるわけではありませんが,相続人の地位や遺産性について争いがあり,別に民事訴訟が継続している場合などに,一定期間の分割を禁止するという場合が多いです。