1 家事従事者とは,性別や年齢を問わず,家族のために主婦的な労務に従事する者をいいます。

 

 

 2 家事従事者が交通事故に遭い,受傷・死亡したりした場合に,その家事労働を金銭評価して損害賠償請求することが出来ることについて,現在,争いはありません(最高裁判所 昭和50年7月8日民集115号257頁)。   

 

 

 この場合,算定の基礎となる収入額は,賃金センサスの女性労働者の平均賃金(賃金センサス第1巻の産業計・企業規模計・学歴計の全年齢平均賃金又は年齢別平均賃金)を用いるのが通常です。高齢者の場合には年齢別平均賃金が採用される傾向にあります。  男性の家事労働者(主夫)の場合には,女性の賃金センサスを用いる場合が多いです。     

 

 

また,メインに家事を担当しているわけではない,従たる家事労働者,例えば,子供夫婦と同居している親とか家事手伝いの子どもなどについては,現実に分担している家事労働の内容等を考慮して,賃金センサスの金額を適宜減額することもあります。 

 

 

3 パートやアルバイトをしている家事労働者も多いですが,その場合,現実の収入額が賃金センサスの金額を上回っている場合には現実の収入額を基礎とします。   

逆の場合には,賃金センサスの金額を基礎とします(賃金センサスの金額に現実の収入金額を加算はしないのが普通です)。