次のような裁判例があります。

いずれも,女性から男性に対するもので,比較的高額な慰謝料が認められた事例は,男性側の行為の悪質性が認められたものと考えられます。なお,男性の親の責任を認めた事例についてはいずれも高額な慰謝料が認められています。

 

 1 大阪地裁昭和42年7月31日 相手方が改宗しないことを理由に婚約を破棄した者に対し、右破棄が正当事由を欠くとして損害賠償義務を認めた(金30万円)

 

 

 2 東京地裁昭和44年10月6日 男性に内縁の妻があることを秘密にして条項関係に及び婚約し,女性が妊娠すると堕胎させるなどした事例(金200万円) 

 

 

3 京都地裁昭和45年1月28日 創価学会の信仰をやめないことを理由とする婚姻予約破棄に因る損害賠償請求を認容した事例(金100万円) 

 

 

4 福岡地裁小倉支部昭和45年12月4日 性格が物足りないなどさしたる理由もないのに,女性との結婚の意思を失い婚約解消した事例(金35万円) 

 

 

5 徳島地裁昭和57年6月21日 相手方の性格一般をあげつらつたり、いわんやその容姿に関する不満をことあげしても、これをもつて婚約破棄の正当事由となし得るものとは到底認められないとされた事例(金400万円) この事例では,婚約解消を働きかけたとして男性の母親についても不法行為責任が認められています。

 

 

 6 大阪地裁昭和58年3月8日 婚約破棄が朝鮮人であるという民族的差別の存在に起因した迷いや躊躇からなされたものとして不法行為の成立を認めた事例(金150万円) 

 

 

7 大阪地裁昭和58年3月28日 被差別部落出身であることを理由とする婚約破棄(金500万円) 本件では婚約解消について不当に働きかけをしたとして父母も共同不法行為者として責任を認容しています。

 

 

 8 東京地裁平成6年1月28日 婚約が解消するに至った原因は,男性が女性に隠れて別の女性と交際をし,交際発覚後の女性に対する言動にあるといわざるをえない(金100万円)