https://www.jiji.com/jc/article?k=2020073101254&g=pol

 

 

立憲民主、国民民主、共産、社民の野党4党は31日、新型コロナウイルスの感染再拡大や豪雨災害の対応について安倍晋三首相にただす必要があるとして、憲法53条に基づき臨時国会の速やかな召集を政府に要求した。これに対し、政権側は早期召集に否定的。野党は「国民に向き合わない姿勢」を浮き彫りにし、揺さぶる狙いだ。

(7月31日時事ドットコムから一部引用)

 

憲法に規定された臨時国会の召集の定めは次のとおりです。

 

憲法第53条 内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。

 

条文を素直に読む限り,要求があった以上すぐに国会の召集をしなければならないことは当然のように思えるわけですが,政府側の見解としては,いつ召集するかについては書かれておらず,この点は内閣が政治的に判断すべきものであるというものです。

また,いつ国会を召集するかは高度な政治的判断に委ねられており(直接国家統治の基本に関する高度に政治的な行為),裁判所の司法審査も及ばないというのが政府の主張でした。

 

 

これらの点について,先日令和2年6月10日に下された那覇地裁の判決では,臨時国会が合理的な期間に召集されたかどうかは合理的な期間といえるかどうかという解釈の問題(法律問題)であって裁判所の司法審査に服すること,また,憲法53条に定められた内閣の国会召集は政治的な義務に留まらず,これに反すれば違法という問題を発生させる法的な義務であると指摘されています。

 

 

とはいえ,結局はこの裁判も「慰謝料請求」(国家賠償請求)という形で争わざるを得ず,請求自体は棄却という結論となっているわけで,いくら法的義務といったところで義務に従わせることが出来なければ画餅に帰するものといわざるを得ません。

要求したものの国会が開かれないような場合には裁判所が裁定し国会の開催を命じることが出来るような制度についても検討があって然るべきではないかと思います。