判例時報2442号で紹介された事例です(福岡家裁令和元年8月6日審判)。
本件は,実母による児童に対する暴言や暴力を原因として児童が一時保護され,児童相談所が家庭裁判所に対して,児童の里親委託又は児童養護施設への入所の承認を求めたという事案です。
その審理の過程において,平成30年4月2日から施行された改正児童福祉法の制度である審判前の勧告(児童福祉法28条4項)がなされているのが本件の特徴として紹介されています。
児童福祉法第28条4項 家庭裁判所は、第一項第一号若しくは第二号ただし書又は第二項ただし書の承認(以下「措置に関する承認」という。)の申立てがあつた場合は、都道府県に対し、期限を定めて、当該申立てに係る保護者に対する指導措置を採るよう勧告すること、当該申立てに係る保護者に対する指導措置に関し報告及び意見を求めること、又は当該申立てに係る児童及びその保護者に関する必要な資料の提出を求めることができる。
審判前の勧告の制度は児童虐待事案に対する司法関与の強化の一環として導入されたもので,審理の過程でも家裁が都道府県に対して保護者への指導措置をとるように勧告することができるというもので,本件では,実母が定期的に児童家庭支援センターに通所して不適切な養育内容の振り返りなどをすること,心理カウンセリングを継続して受けること,児童相談所からの連絡に応じて生活状況等を報告することが勧告されています。
【児童福祉法第 28 条に基づく審判前の勧告等について 厚労省子ども家庭局長通知】
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000336017.pdf
その上で,本件の申立て(児童の里親委託など)については却下としたものの,却下の審判に際しても家裁が都道府県に対して指導措置の勧告をできるという児童福祉法28条7項に基づき(前記平成30年4月2日施行の改正法に基づくもの),前記した内容の勧告を改めて行っています。
児童福祉法28条7項 家庭裁判所は、第四項の規定による勧告を行つた場合において、措置に関する承認の申立てを却下する審判をするときであつて、家庭その他の環境の調整を行うため当該勧告に係る当該保護者に対する指導措置を採ることが相当であると認めるときは、都道府県に対し、当該指導措置を採るよう勧告することができる。