民法改正の大きな点として,従来一切明文のルールがなかった定型約款について規定が盛り込まれたことです。
【民法改正 定型約款の変更】
https://ameblo.jp/egidaisuke/entry-12295116305.html
【民法改正 定型約款の定義・みなし合意の要件・内容表示義務】
https://ameblo.jp/egidaisuke/entry-12293328766.html
定型約款については,既に改正民法の施行時期である令和2年4月1日よりも前に多くの利用がされていたものですが,施行日前に存在していた定型約款については,旧法下の判例の基準などに照らして有効である限り,附則33条1項但書により引き続き有効性が保たれることになります(多くの場合はそのまま用いられることになり,取引の相手方から施行日前の約款であることを理由とした無効の主張がされるリスクは多くないものと思います)。
(定型約款に関する経過措置)民法附則第33条1項 新法第五百四十八条の二から第五百四十八条の四までの規定は、施行日前に締結された定型取引(新法第五百四十八条の二第一項に規定する定型取引をいう。)に係る契約についても、適用する。ただし、旧法の規定によって生じた効力を妨げない。
ただし,改正法における取引約款のルールは,施行日前に定められていた約款にも原則として適用がされるので(附則33条1項本文),内容の開示に応じる義務や変更に当たってのルールなどつにいては,改正法の定めに従うことになります。
なお,施行日前に当事者が改正法のルールを適用しない旨の意思表示をしていたときは,施行日前に存在していた約款には改正法のルールは引き続き適用されないということになります(附則33条2項,3項)。
附則第33条2項 前項の規定は、同項に規定する契約の当事者の一方(契約又は法律の規定により解除権を現に行使することができる者を除く。)により反対の意思の表示が書面でされた場合(その内容を記録した電磁的記録によってされた場合を含む。)には、適用しない。3 前項に規定する反対の意思の表示は、施行日前にしなければならない。