https://digital.asahi.com/articles/ASN476SJVN47UTFK035.html
安倍晋三首相は7日の記者会見で、自らが新型コロナウイルスに感染した場合の対応を問われ、「しっかりと意識がある場合には、私は公邸などで自己隔離しながら、総理としての執務を行う」としたうえで、「意識がなければ、麻生太郎副総理が臨時代理ということになり、一瞬でも遅滞がないように対応してきたい」と述べた。
(4月7日朝日新聞デジタルから一部引用)
憲法70条には「内閣総理大臣が欠けたとき」は内閣は総辞職しなければならないと定められています。
憲法第70条 内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、内閣は、総辞職をしなければならない。
憲法で規定している「内閣総理大臣が欠けたとき」とは,典型的には内閣総理大臣が死亡した場合がこれにあたり,長期化が予想される意識不明状態もこれに該当するとされます。
ただ,一時的な職務遂行不能の場合はこれにはあたらないとされ,この場合は,「内閣総大臣に事故のあるとき」として,予め指定された国務大臣が臨時に内閣総理大臣の職務を行うものとされます(内閣法9条)。
内閣総理大臣臨時代理は,もともと,事故が予想されるときに応急的に指定するということが慣例化していましたが(海外出張の際に指定するなど),平成12年に当時の小渕首相が脳梗塞で倒れた際に密室で不透明なまま臨時代理が指定されるということがあったことから,現在は組閣時などに第5順位まで臨時代理を定めておくということになっています。
通常は,内閣官房長官が第一順位とされますが,これ以外の国務大臣が臨時代理に充てられた場合,これを「副総理」と呼称する慣例で,現在は麻生財務大臣が指定されているのため,麻生財務相は「副総理」の呼称も保有しているということになります。
内閣法第9条 内閣総理大臣に事故のあるとき、又は内閣総理大臣が欠けたときは、その予め指定する国務大臣が、臨時に、内閣総理大臣の職務を行う。
理屈上は上記のようになりますが,内閣総理大臣が疾病にり患した場合に,長期間にわたり予想される意識不明状態というべきなのか,一時的なものに留まるのかというのは,ある程度の期間中はどちらとも言い得る状態となります。
もはや回復の見込みがない意識不明状態と判断された場合には,憲法上,当然に内閣総辞職となりますが,あたらに内閣総理大臣が任命されるまでの期間は,内閣総理大臣臨時代理が内閣を率いて,それまでの期間暫定的に内閣の職務を行うということになります(憲法71条)。
憲法第71条 前二条の場合には、内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行ふ。