改正民法における消滅時効期間についての改正の概要は次のとおりです。
【改正民法における消滅時効期間】
https://ameblo.jp/egidaisuke/entry-12297349743.html
消滅時効の援用について,施行日である令和2年4月1日よりも前に債権が生じた場合又は施行日後に債権が生じたとしてもその原因となる法律行為(契約など)が施行日前になされたときは,なお,従前の例によるとされます(附則10条1項)。
改正民法附則(時効に関する経過措置)第10条1項 施行日前に債権が生じた場合(施行日以後に債権が生じた場合であって、その原因である法律行為が施行日前にされたときを含む。以下同じ。)におけるその債権の消滅時効の援用については、新法第百四十五条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
例えば,建物の賃貸借契約とそれに伴う敷金契約自体は施行日前に締結されていたとして,施行日後に明渡があり敷金の返還請求権が発生したという場合,改正法の規定によれば敷金の返還請求権が発生したことを賃借人が認識したときから5年間の経過により消滅時効が完成することになりますが,この場合,敷金契約が締結されたのは施行日より前になるため,改正前民法が適用され,敷金返還請求権が発生したときから10年間が消滅時効期間ということになります。
施行後に債権が発生していればあまり深く考えることなく改正法が適用されると誤解しそうで,結構,間違いが起こりそうなので注意しなければなりません。