https://mainichi.jp/articles/20200317/k00/00m/040/142000c

 

 

訴状によると、女性は1988年に新卒採用で博報堂九州支社に嘱託社員として入社。1年契約の雇用契約を29回更新し、18年3月末まで経理などを担当してきた。

 13年4月施行の改正労働契約法は、同月以降に結んだ有期労働契約が通算5年を超えれば、無期労働契約への転換を申し込む権利が得られる。女性は18年4月に無期雇用転換を申請できる予定だったが、同社は17年12月、次年度以降の雇用契約は更新しないと伝えた。

(3月17日毎日新聞から一部引用)

 

 

有期雇用の無期転換については、かねて、転換の権利が与えられる期限ぎりぎりに不更新とされるという事態が懸念されていたところですが、法律上は、この点については明確に規定されているところではありません。

 

 

以前私もブログで指摘したことがありましたが、労働者の「同意」について厳格に判断するという最高裁の立場が示されて以降、裁判実務でもこの点について厳格に判断するという流れが出てきているものと思いますので、本件がどのような理屈付けであったのかについてはまた調べて述べたいと思いますが、こうした判断手法に沿って「更新しないことについて同意する」という労働者の意思を厳格に判断してなされたものなのかもしれません。

 

 

新型コロナウィルスにより社会情勢が激変する中において、かつてのリーマンショック後に現れた「派遣切り」「内定取り消し」といった問題がまたぞろ現出してきそうな情勢ですが、このような中にあって、今後、無期転換権発生前の更新期限を迎える事案が次々と出てくるものと思われ、こうした争いの解決に先鞭をつける一つの事例といえましょうか。ただ、本件の更新拒否は好況の時期になされたものということができますが、現在の経済情勢が長引くことになれば、この点が判断にどのように取り込まれるのか、判断する裁判官の潜在意識の中に影響するのかという問題もありそうです。

 

 

 

【契約CAの無期転換認める KLMに東京地裁】

https://ameblo.jp/egidaisuke/entry-12510124885.html

 

 

【日通の元契約社員が雇用確認求め提訴 不当な雇い止めと主張】

https://ameblo.jp/egidaisuke/entry-12365429412.html