金融・商事判例1582号で紹介された事例で,下記の地裁判決の控訴審になります(令和元年10月17日東京高裁判決)。
【総会の議長選任,持株会代表者の修正動議に対する対応権限などについて判断した事例】
https://ameblo.jp/egidaisuke/entry-12536569403.html
・書面による議決権行使により会社提案に賛成していた株主の職務代表者として総会に出席した者が会社提案にも修正動議に対しても投票しなかった場合の評価・・・書面による議決権行使(会社提案に賛成)を行った株主の職務代行者として出席した者(本件では生命保険会社や銀行の担当者)が,修正動議に対して投票しなかったり,白紙の投票用紙を交付したりした場合,書面による議決権の行為は撤回されたものとみて,棄権として取り扱うべきである(会社側は,欠席として取り扱い,会社提案に賛成する旨の書面による議決権行使を有効とすべきであると主張しましたが,容れられず,会社提案についても可決されないということになりました)。
幾つかの論点のうち,事前に会社提案に賛成していた銀行や保険会社の使用人が株主総会に出席したが,当日の修正動議に対して対応しなかった場合の評価について,第一審判決は,書面による決議は撤回され棄権として扱われるとしたいのに対し,控訴審判決では,当該使用人が法人株主(銀行など)から議決権行使の権限を授与されておらず,議案に対する投票の際にもその旨を会社に説明しており,会社としても当該法人が事前の書面による議決権行使と異なる内容での議決論行使をする意思を有していないことが明らかであった状況においては,事前の議決権行使が撤回されたとはいえないとし,本件では,会社提案については賛成,修正動議に対しては反対として取り扱うべきであるとしました。出席した使用人については,単なる傍聴者であり,株主の職務代行者ではないと評価されています。