https://digital.asahi.com/articles/DA3S14325929.html?iref=pc_ss_date

 

 

シリアで武装勢力に3年4カ月にわたって拘束され、2018年10月に帰国したジャーナリスト安田純平さん(45)に対し、外務省が旅券(パスポート)を発給しなかったことは憲法違反だとして、安田さんが国を相手取り、発給を求めて東京地裁に提訴したことがわかった。提訴は9日付。訴状によると、安田さんは旅券を拘束時に奪われたため、帰国後の昨年1月に再発給を申請したが、外務省は同年7月、発給を拒否する通知を出した。18年10月にトルコから5年間の入国禁止措置を受けたことが理由と記されていたという。申請時には渡航先として欧州やインド、北米を挙げており、トルコは含まれていなかった。

(1月14日朝日新聞デジタルから一部引用)

 

約5年前の記事ですが,当時,いわゆるイスラム国の勢力が盛んだった頃,邦人の殺害事件などの残忍な事案が立て続いていた時期ですが,取材のためシリアへの渡航を計画していたジャーナリストに対する旅券の返納命令とその後,渡航先としてシリアとイラクを除いた一般旅券の発行がなされたことについて,その後訴訟提起がされ争われています。

この事案で,裁判所は旅券の返納命令,また渡航先を限定した一般旅券の発行を行った外務大臣の処分について裁量の範囲内であるとして是認しています(東京地裁平成29年4月19日判決判例タイムズ1461号 その後の控訴審も同様)。

 

 

【男性「渡航の自由断ち切られた」法的措置も検討】

https://ameblo.jp/egidaisuke/entry-11987953048.html

 

 

安田さんの件では,そもそも一般旅券の発行自体が認められなかったということのようですので,前記の事案と比較すると,出国自体ができないということで,さらに厳しい制限が課されたということのようです。

旅券法では,一般旅券の発給を拒否できる場合として渡航先に施行されている法規によりその国に入ることができない場合をあげていますが,渡航先からトルコを除外するということで対応はできないのかということについては疑問が残るところです。

 

 

旅券法第13条 外務大臣又は領事官は、一般旅券の発給又は渡航先の追加を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合には、一般旅券の発給又は渡航先の追加をしないことができる。
一 渡航先に施行されている法規によりその国に入ることを認められない者

 

 

翻って考えてみると,先日殺害されたアフガニスタンの中村医師のように危険な国や地域で活動している人はいくらでもいるわけで,果たして危険な国・地域への渡航をどこまで国が制限すべきなのか,国が人や渡航目的によって選別すべきなのかというのは考えてみるべき問題であるといえそうです。