家庭の法と裁判23号で紹介された事例です(東京高裁平成29年11月24日決定)。
本件は,夫から別居中の妻に対して子ども(およそ4歳と7歳)との面会交流を求めたという事案ですが,原審(家裁)が,1年間は第三者機関での支援の下での面会交流を行うことを定めたのに対して,高裁では,さらに期間を延ばして1年6カ月は第三者機関での支援による面会交流を行うように修正しものです。
原審,高裁とも基本となる事実関係(夫(父親)が長男に対して押さえつけたり馬乗りになって怒鳴りつけたりしたということについては否定されたものの,妻が勤務時間の短縮・パートへの転換の希望を述べた際に口論となり,さらに夫が妻を床に抑えつけたりするなどして怒鳴ったりしたため長男が泣きながら止めに入ったことは事実として認定されています。ただ,試行的面会交流の状況などから,夫(父親)と子どもたちの関係について面会交流が認められないほどの程度までには至ったいるとはいえないとされています。)についてはほぼ同じですが,高裁では,原審の手続きでの夫による妻に対するいたずらに対立を助長しかねない言動(「排他的な選民思想」とか「虚偽を繰り返す人間性」といった人格否定的な言葉を用いて主張したりしたこと)などを原審よりも重く見て,面会交流が円滑に実施されるためには1年6か月間は第三者機関の支援の下での面会交流が必要と判断したものです。