平成18年5月1日の会社法の施行とともに有限会社法は廃止され(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律1条3号 以下「整備法」),その時点での既存の有限会社は会社法の株式会社として存続することとされました(整備法2条1項)。
会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第2条1項 前条第三号の規定による廃止前の有限会社法(以下「旧有限会社法」という。)の規定による有限会社であってこの法律の施行の際現に存するもの(以下「旧有限会社」という。)は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後は、この節の定めるところにより、会社法(平成十七年法律第八十六号)の規定による株式会社として存続するものとする。
この既存有限会社のことを特例有限会社と呼び(整備法3条2項),規律としては会社法の規定に従うことになりますが,ただ,特則として,既存有限会社はその後も有限会社を名乗る限りは「有限会社」を証しなければならないこととされています(整備法3条1項)。
(商号に関する特則)会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第3条 前条第一項の規定により存続する株式会社は、会社法第六条第二項の規定にかかわらず、その商号中に有限会社という文字を用いなければならない。2 前項の規定によりその商号中に有限会社という文字を用いる前条第一項の規定により存続する株式会社(以下「特例有限会社」という。)は、その商号中に特例有限会社である株式会社以外の株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。3項以下 略
このようなわけで,現在でも「有限会社」という名称のまま存続している会社があることになります。
しかし,法律的な規律としては特別の規定がなければ会社法の規定に従うことになりますので,特例有限会社の代表者としては,原則として取締役になりま,取締役が複数いる場合には各自が会社を代表します(会社法349条1項)。
定款や定款の定めに基づく互選,株主総会の決議により取締役の中から代表尻島利益を定めたときに限り,代表取締役が選任されます。
会社法第349条 取締役は、株式会社を代表する。ただし、他に代表取締役その他株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。2 前項本文の取締役が二人以上ある場合には、取締役は、各自、株式会社を代表する。3 株式会社(取締役会設置会社を除く。)は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることができる。4項以下略
したがって,代表取締役を定めていない特例有限会社においては当事者の表示としては「A有限会社 代表者取締役B」と表記することになります。