「書面」によらないでした贈与契約は自由に撤回することができます(民法550条本文)。
(書面によらない贈与の撤回)民法第550条 書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。
そこで,当該贈与契約が「書面」によりなされたのかどうかが問題となることがあります。
この点,判例は「書面」の範囲を緩やかに解しており,贈与契約の当事者で直接取り交わされた書面(端的には贈与契約書)である必要はないとし,また,書面中に無償の趣旨が記載されていることも必要ではなく,書面中に贈与されたことを確実に見て取れるだけの確実な記載があれば足りるとしています。
判例上「書面」として認められ,撤回が認められなかったものとして次のようなものがあります。
・兄が「弟に贈与する」旨を記載した農地法の許可申請書(最高裁昭和37年4月26日判決)
・贈与者が被贈与者に対して贈与したことを前提とする記載がなされた調停調書(最高裁昭和53年11月30日判決)
・被贈与者に対し土地を贈与し,当期が未了であったことから,司法書士を介して被贈与者に対して直接登記するように求める旨を記載した内容証明郵便(最高裁昭和60年11月29日判決)