親が子どもを戒める権利として、民法には「懲戒権」が規定されていて、平成23年には虐待を正当化されないように、子どもの利益になる場合に限って認めることを明記する改正が行われました。
ただ専門家などからは「虐待を防ぐために法改正は前進だったが、逆に子どもの利益のためであれば体罰を認める余地が残されてしまった」という指摘も出ています。
(2月17日NHKニュースウェブから一部引用)
民法に規定されている親の懲戒権の規定は次のとおりです。
(懲戒)民法第822条 親権を行う者は、第八百二十条の規定による監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる。
平成23年に改正される前は,必要な範囲内で懲戒し,家庭裁判所の許可を得たうえで懲戒場に入れることができるといった規定でしたが,規定されていた懲戒場が存在しなかったことなどから,現在のような規定となっています。
そもそも現在問題となっているような虐待ケースの親による行為が本条の「懲戒」に当たらないことは明らかですが,この規定があることで,虐待を正当化してくるような親がいて現場が対応に苦慮しているというのであれば,規定の見直しも必要になると思います。ただ,そのような親は,規定がどうであろうと虐待を正当化しようとするのでしょうから,規定の文言をいじくるような空中戦ではなく,虐待を防止するために必要な具体的な措置についての本質的な議論を合わせて行ってほしいものです。