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証券会社が株売買の委託手数料を稼ぐため顧客に株を短期間で買い替えさせる「回転売買」が横行し、証券取引等監視委員会が警戒を強めている。顧客は外国株の取引で損失を出す高齢者が目立ち、監視委は昨年10月に準大手証券会社に業務の改善を要請した。今後、証券各社への立ち入り検査を強化する。
損失が出ても販売員の上司らから「会社のチームが支えるから大丈夫」と言われ、外国株や新興企業株の短期売買を繰り返した。だが、損失が膨らみ、弁護士に相談。それまでの取引を計算すると、利益はほぼ出ていないのに委託手数料の総額は約6400万円にも上っていた。
(1月20日読売新聞オンラインから一部引用)
証券取引は投資家自身の責任と判断で行われるべきものですが,一般の投資家にとって情報の収集や分析は難しいものがあることから,証券会社やその担当者からの勧誘や助言に依拠して取引を行うことが少なくなく,他方で,証券会社は取引が多ければ多いほど手数料を稼ぐことができるという立場にあることから,一般投資家を過当な取引に誘う危険性が内在しています。
そこで,顧客の投資経験,証券取引の知識,投資意向,財産状態等に照らして,銘柄数,取引回数,取引金額,手数料等において社会的相当性を著しく逸脱した下等な取引を行わせたときは,当該不法行為は不法行為上違法となると考えられており,証券会社に対し損害賠償が命じられることになります。
もっとも,証券会社の方では,顧客の意向を逐次確認して取引を行っていたという反論をするわけですが,客観的にどのような取引を行っていたのかを分析し,例えば,ある時期にある株を値上がりを期待して買い建てているのに,一方で同じ株を決済するというような取引が行われていたりするなどしていることが多く,そのような行為が証券会社のと担当者の助言や勧誘によってなされていたり,そのような行為を投資経験や知識がない一般投資家がするはずもないといったことから,証券会社による過当取引を立証していくということになります。
また,手数料稼ぎの過当取引であると判断された場合に,損害をどのように考えるかについて,支払った手数料の相当額を損害とみる考え方と取引による損失全体を損害とみる考え方があります。