民事訴訟の手続きの期日は公開が原則ですが,これは弁論と判決の手続きについてです。

弁論準備という手続きに付された場合は,その名の通り,公開されるべき弁論の「準備」段階の手続きという位置づけのため,非公開となり,一般の方は傍聴することができなくなります。

 

 

弁論準備手続きにおいて,裁判所が相当と認めたものに限り傍聴ができることとなっていますが,当事者が申し出た者については原則として傍聴を許可しなければならないこととされています(民訴法162条2項)。

 

 

(弁論準備手続の期日)
民事訴訟法第169条2項 裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。ただし、当事者が申し出た者については、手続を行うのに支障を生ずるおそれがあると認める場合を除き、その傍聴を許さなければならない。

 

会社が当事者の訴訟で従業員が傍聴したりすることは普通に行われています。

心細いからといった理由で当事者の家族が付き添って傍聴することも可能です(そもそも当事者が申し出た者の傍聴についてその理由は問われない)。

 

 

当事者が傍聴を求めた者について,裁判所が相手方の意見を聞くことも不要なのですが,時折,裁判所が相手方の意見を事実上聞いたり,相手方が「非公開の手続きなので傍聴は遠慮されたい」という意見を述べて裁判所もそれを申し出た側に伝えてくることもありますが,法律の規定からするとおかしいということになります。

 

 

親族間の争いなどで,傍聴者がいることで感情的になったり心理不安定になるといった事情があれば,「手続きを行うのに支障がある」としてそのことを説明したうえで,傍聴を不許可としてもらうか,同席しないようにしてもらうとか,裁判所に対処してもらうことになります。

 

 

傍聴者は傍聴ができるだけですので本来発言はできないはずですが,傍聴している者が事情を知っていたり知識を有していることなどから,実際には,裁判所からの許可も得たうえでという立て付けで,傍聴者が発言するということも行われています。

ただ,相手方の立場からすれば,事実上,自分にとって不利なことを言われてしまうということもあるわけで,度が過ぎるようであれば制御が必要です。